齲蝕(うしょく)について①

一般に大人の永久歯は乳歯に比べて丈夫で、特に歯の表面の硬いエナメル質は乳歯の倍ほどの厚さで石灰化が強く、さまざまな外界の刺激に抵抗できるようになっています。ですから、大人の虫歯の進行は、乳歯に比べおおむね遅く、その反面、注意を怠って重篤な状態になりやすいという危険があります。
成人期では、どちらかというと歯の表面よりは歯と歯の間で歯肉(隣接面歯頸部)など見つけにくい場所に多く見られ、しかも進行した状態で発見されることが多く、自己チェックが不十分になるようです。
さらに、一度つめたりかぶせたりした歯は、二度と虫歯にならないという誤った安心感などから、手入れを怠り、再び虫歯(二次齲蝕と呼ばれます)になってしまうこともあります。
神経が死んでしまった歯は、痛みの症状が現れにくいので疾患の進行に気付かず、かなり進行した状態で発見されることも少なくありません。
また、歯周病などによって歯肉が下がって、歯の根のセメント質という部分が露出してしまうことなどにより、そこに虫歯を作りはじめてしまうこともあります。
今後二度と生え変わることがなく、また自然治癒力のない永久歯の虫歯の進行を少しでも遅らせ、人間の寿命の延長に伴って、歯も長生きしてもらいたいですね。