集中力がUPする!?子供の歯列矯正の種類と効果

小さかった子どもが、少しずつ大人に変化していく目安に歯の生え変わりがあります。赤ちゃんの頃は、ほんの小さい白い歯が生えているだけでかわいいのですが、永久歯が顔をのぞかせるようになると、歯の並び方が顔の印象を大きく左右するようになりますよね。見た目だけではなく、集中力やスポーツなどで使う「踏ん張る力」や「瞬発力」においても、歯並びはとても大事な要素となります。

子どもの歯科矯正の目的は、永久歯になったときに、正しいかみ合わせや歯並びとなっていることです。子供の発育の力を使うため、期間も短く・本人への負担も少ないというメリットがあります。

子どもの矯正の種類

子どものお口の中は、体の成長に合わせてどんどん変化していきます。何もないところから、小さな歯が出てきて、それと共に顎の大きさも広がっていきます。

乳歯が生え揃う目安は2歳の誕生日前後です。その後6歳になる時期から、5~6年かけて順番に永久歯へと生まれ変わっていきます。子どもの矯正の方法には実施するお子さんの歯の状態により対応できる治療方法がいくつかあります。治療方法のうち、代表的に小児矯正で行われる方法をご紹介します。

床(しょう)矯正

お口の中では、歯の内側の舌がある床に当たる部分と天井に当たる部分を、床(しょう)といいます。この床と呼ばれる部分にはめる矯正装置によって行う方法を床矯正と呼んでいます。これは、歯が並んでいる内側(床)に取り外しができる装置をはめて、顎の大きさのバランスを整える治療方法です。顔やあごの発達が進む時期に行うもので、上下の歯や顎のバランスを整えるために行います。

例えば、あごの骨が小さく歯が生えてくるための十分なスペースがない場合には、後から生えてくる歯の場所が確保できず、無理やり生えようとして歯並びが悪くなることがあります。床矯正によって顎の大きさを広げることで、狭いスペースに無理やり歯が生え、歯並びが悪くなることを防ぐことができます。

床矯正では、取り外しのできる器具を使い、あごの骨の成長を促進したり、抑制したりします。上下の顎のバランスを考えて、矯正装置が顎の骨にかかる力を調整していくのです。歯は顎の骨にそって弓の形のように曲線状に並んでおり、その歯の並びは歯列弓と呼ばれます。上と下の歯列弓のバランスを見ながら、あごの発達を促進したり、抑制したりすることができます。

ブラケット矯正

顎の形や歯の大きさがかみ合わせの状況など、最適な時期は個人によって大きく変わりますが、基本的には11~12歳前後、永久歯が生え揃ってから一般的に行われるのがブラケット矯正です。歯の矯正をしていると言うときに、皆さんが思い浮かべるものがこちらになります。

歯の位置を調整するため、一本一本の歯に装置を付けます。その装置にU字型のワイヤーをつなぎ、ワイヤーが元の形に戻る力を利用して、きれいな弓型に整えるために一本一本に力をかけ歯を移動していきます。

大人になってもできるものですが、体の成長期に合わせて行うことで、歯の移動もスムーズになります。また、ブラケット矯正は、永久歯に限定されているものではなく、乳歯にも装着する場合もあります。お子さんの状況に合わせて、歯科医と相談することで最適な治療方法を選択してください。

子どもの矯正歯科を始める時期

一般的には、永久歯が生え始める時期(5~7歳頃)を目安として矯正治療を開始します。この時期の矯正としては、顎の骨のバランスを骨格から整えることが目的です。

永久歯が生え揃う前の歯やお口の状態を確認することで、どんな治療が必要かを早めに判断をすることができます。顎を広げ、永久歯の生えるスペースを確保することで、歯並びを整えるために行う抜歯の可能性を下げることもできます。

顎の大きさは12歳くらいの時期にだいたい決まってしまいます。その時期を超えると、顎を大きく広げることが難しくなるため、歯列矯正のために顎の大きさに合わせて抜歯が必要になることもあるのです。

顔や性格が全く違うように、お口の環境、歯の並び方も千差万別です。気になる方は、信頼できる歯医者さんにご相談してください。

子どもの矯正、治療の流れ

矯正相談をした後の治療の主な流れは以下の通りです。

  • 矯正初診
  • 精密検査
  • 方針決定
  • (床矯正治療)
  • 保定装置の装着
  • 後戻り防止と経過観察
  • 矯正終了

早めに治療を始めた方が良いケース

歯の生え方が凸凹していたり、極端な受け口や出っ歯など、歯を大きく移動する必要がある場合は、できる限り早めに相談することをお勧めします。

お子さんの体の発達や成長の力を借りることで、小さい力で歯や顎の位置のコントロールができるようになるためです。

  • 歯の凸凹(叢生(そうせい))
  • 出っ歯(上顎前突)
  • 受け口(反対咬合)
  • 上下が噛み合わない(開咬)

子どもの矯正にかかる費用

歯列矯正は、保険範囲外のため、歯科医院が独自の料金体系を決めることができます。そのため、医院ごとによる料金の差がとても大きいです。

相場としては以下のような金額となります。

  • 子どもの床矯正 200,000 ~ 400,000円
  • 混合歯列矯正 150,000 ~ 600,000 円
  • 永久歯の歯列矯正 500,000 ~ 1,300,000 円

子どもの矯正のメリット

歯の矯正は、歯がある限りどんな年代でも受けることが可能です。しかし、できるだけ体の発達中である若いうちに行う方が、効果も大きく、矯正治療による負担も最小限で済みます。幼いうちに矯正歯科を始める目的は、今ある乳歯を並び替えることではなく、これから生えてくる永久歯の生え方をきれいに整えること。埋まった杭の場所を移動するよりも、これから杭を打つところを整え目印を作る方が簡単なのです。

その他にも子供のころから矯正を行うメリットには次のようなものがあります。

  • 床矯正により歯の生えるスペースを調整することができる(歯並びのために、歯を抜く可能性が下がる)
  • 歯並びに悪影響となる習慣を改善することができる(指しゃぶり、舌癖など)
  • 体の成長と発達の力を借りることで、小さな力で歯の移動ができる
  • 歯列矯正全体にかかる時間が短い
  • 正しいかみ合わせになることにより、集中力がUPする。
  • 綺麗な歯並びで青春時代を過ごすことができる!
  • コンプレックスが減り、自信を持つことができる

歯並びは、骨格と生活習慣が深くかかわってきます。また、食べ方や舌の癖などからも影響をうけて変化していきます。いつもお口を開ける癖のある方は、舌が下の歯を押してしまい、少しずつ受け口になってしまう可能性もあるのです。また、いつも右側で食べ物を咬む癖のある人は、右側のかみ合わせだけが深くなり、顔がゆがんでしまうことにもつながります。

子供のころから歯列矯正をするということは、お食事習慣や舌の癖を早めに見直し、正しい咀嚼の習慣、正しい舌の使い方を無理なく覚えていくことにもつながります。「三つ子の魂百までも」という言葉がありますが、若いころに覚えた習慣や癖は、身に着けるのも早く、忘れにくいものになっていきます。

歯列矯正をすることで、歯並びがきれいになっても、食べ方に癖があったり、いつもお口が開いていたりすると、歯並びは少しずつ悪くなっていく可能性があるのです。習慣などからくる悪影響を防ぐためにも、若いうちに正しい習慣づけを行うことが理想です。正しい歯並びは、正しい習慣がベースとなります。

 

成長の力を利用して、あごのバランスを調整する床矯正。また、一本一本の歯の位置を整えるワイヤー矯正。小児の矯正には、発達期の顔と体の成長に合わせた様々な方法があり、個々のお子さんの状態に合わせて、診療・治療を進めていきます。

若いころの歯列矯正は、かっこいいお兄さん、お姉さんになる近道!自信を持って、世界へ飛び出すために、検討してみてはいかがですか。